社内「DX」の上手な進め方

社内「DX」の上手な進め方

各所で話題となっているDX。しかし、実際にどう進めていけばよいか分からない、という人も少なくないと聞きます。当記事では、具体的な社内DXの進め方についてお伝えしていきます。

DX(デジタルトランスフォーメーション)についておさらい

以前の記事『IT化と何が違う?DX(デジタルトランスフォーメーション)の基礎知識』でもお伝えしたように、総務省の定義によると、DX(デジタルトランスフォーメーション)とは「ICTの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」です。

ICTのイメージ

従来から提唱されてきた「ICT利活用」との最大の違いは、ICT利活用は、"既に確立された産業を前提に、その産業の効率化や価値の向上を実現するもの"であったことに対して、DXは、"その産業のビジネスモデル自体を変革していくこと"にあり、ICTの位置づけは補助ツールではなく、事業のコアになります。

1つ例を挙げると、銀行がオンラインバンキングなどの決済システムを構築することは前者の「ICTの利活用」であり、最近注目を集めているフィンテック企業が金融サービスとともにICTサービスも提供し、金融業界自体にも変革を起こしていることは後者の「DX」と言えるでしょう。

また、DXは、単なるIT化だけではなく、それにより生活やビジネスの質を向上させることが目的になります。DXにより、顧客の生産性をアップし、より豊かな生活やビジネスにつなげることが重要になります。

DXは企業に求められている課題

DX(デジタルトランスフォーメーション)

現在、多くの企業にとってDXは他人事ではなく、"対応すべき課題"になっています。

総務省が2018年に発表した「DXレポート(サマリー)」には"2025年の壁"という言葉が出てきます。
多くの企業は既存システムが事業部門ごとに構築されていて全社横断的にデータ活用ができなかったり、複雑化・ブラックボックス化していたりするなかで、経営者がDXによる解決を望んでも現場サイドの抵抗も大きく、実現が難しく、その結果、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性がある――というものです。

このことからもわかる通り、DXは既に企業単位の問題ではなく、"日本経済全体の課題"にもなっています。

DX推進のための6つのステップ

ビジネスステップ

さて、社内でDXを推進するにあたっては、さまざまな方法があります。 ここでは、その手順について、一例をご紹介します。

【ステップ1】DXを行う目的を決める

「何のために行うか、進めていくのか」という"目的"が必要になります。目的があっての計画作成となるため、最初の段階で"方向性の統一"をすることは必要不可欠と言えるでしょう。

【ステップ2】組織責任者・管理職の同意

DXは一部の部門だけで行うものではなく、全社で取り組むものです。そのため、一部の部門だけで"方向性の統一"を行っても、共通のルールや認識がないため、各部署がバラバラな取り組みを行ってしまうなど、DXはうまくいかないでしょう。最初の段階で会社の組織全体で取り組む必要があるため、事前に経営者など組織責任者に説明を行い、協力体制を整えておくことが重要です。

【ステップ3】戦略への落とし込みをする

"目的"に関して全社で"方向性の統一"を行った後は、"目的"を"戦略"へと落とし込んでいく必要があります。戦略の部分も、進行してから組織責任者・管理職と「そういう認識ではなかった」という相違が生まれないように、現場と共にDX戦略を一緒に策定を行ったほうがよいでしょう。

【ステップ4】自社内の現状を把握

どれだけ"戦略"を練っても、"現状"を把握しなければ、DXは絵に描いた餅です。自社で老朽化しているシステムや、他に発生している問題がないかなど、把握することが必要です。現場の生の声も取り入れ、検討を行いましょう。

【ステップ5】組織全体のワークフローやビジネスモデル・事業をデジタル化

DXを推進するためには、組織全体のデジタル化とそれに伴う体制整備が不可欠です。ここでいうデジタル化とは、今までアナログで行っていたことをデジタルに置き換えることであり、従来の設備や仕組みにデジタル技術を活用し、「業務効率化を図る」ことです。たとえば、紙に書いて提出するなど、アナログなワークフローは、デジタル化するべき項目です。

また、体制整備の面では、システムの担当者はもちろん、データが移行できない、操作方法が分からないなどトラブルを管理する人員も含めた人員の体制構築も怠らないようにしましょう。

【ステップ6】PDCAを長期で実行する

DXの進捗状況を評価するシートを作成し、定期的にチェックを行いましょう。項目は「DX推進がミッションとなっている部署や人員と、その役割が明確になっているか」など、企業ごとのDXの"目的"と"戦略"に合わせて、項目を作成し、それをレベル0~5段階などで評価を行います。その際、達成していない部分についてはどのように対応するかも合わせて話し合いましょう。

ただ、最初から大きな話にしてしまうと、身動きが取れなくなり、また3年~10年程の長期計画となってしまうため、まずはスモールスタートで開始し、トライアンドエラーを繰り返し、成功体験から領域を拡大していくことが望ましいでしょう。

一部だけでなく経営トップも一貫した会社全体で取り組み、短期的目標ではなく長期的目標で戦略立てることがポイントです。

「絶対にやってはいけないDX」とは?

警告のイメージ

ところで、DXに成功する企業がある一方で、DXに失敗してしまう企業があることも事実です。失敗の要因はさまざまありますが、DXにおいて「絶対にやってはいけないこと」を整理してみましょう。

部分的なDXの実施(全体像を把握せず、部分的な改革をしない)

現場が困窮していても経営者層に伝わっていないとそもそも話にならないため、一部の人間だけでなく、会社全体での取り組みが必要です。DXを進めたい人だけでなく、プロジェクトとして遂行する方がよく、PDCAサイクルを回せるような複数人の人材が準備できる状態を整える必要があります。

目的の定まっていないDX(目的の決まっていない状態でのITツール導入)

そもそもの目的・課題感のないITツールの導入で、現場の業務を把握せず、多くの部内へ導入することは見切り発車状態といっても過言ではありません。

社内のDX推進は、いまや、避けることのできない企業課題です。まずは、腰を据えてそれらに取り組むことが、DX成功への第一歩となるのではないでしょうか?

木村情報技術では2005年の創業当時から、企業のDXに役立つさまざまなツールを開発しています。なかでも、AI検索による業務効率化を促す「AI-Q」をはじめとするAIソリューション、オンラインを用いて商談機会を増やす営業ツール「Chat Meet」、高品質な映像をどこからでも配信・中継ができるライブ配信サービス「Biz Live」は、DXのツールとしても需要が高く、多くのエンタープライズ企業が活用しています。

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この記事の執筆者

編集部
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木村情報技術の中の人です。
テクノロジーとアナログ力を結びつけた情報を発信します。

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