人にして上げられる人と人からしてもらう人

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殆どの人は、自分を一番大切に思い、自分本位にことを進めたがり、私は、私が、と第一人称的なものの考え方をして行動を起こしてしまいますよね。
また、自分の価値観や基準に人を合わせようとしますし、、人から何かをしてもらうことを求めてしまいます。

私もそうですが、知らないうちにそうなっていませんでしょうか。

もしこれを逆に他人本位で考えることができて、行動をとれるとしたら、どんなにすばらしいことでしょう、そして、その人はどんなにすごい人でしょうか。

3年前に亡くなられたのですが、このような考え方と行動をされていた方がいらっしゃいました。
富士和教会の安丸姫というお方です。
30年間、人のためにご相談に乗り、自分の人生をささげられた方です。
贅沢をするわけでもなく、威張ったり、人を従わせようともせず、旅行もせず、病気で休むこともなく、引退される92歳まで人のために一生懸命やってこられた方です。
これだけ長い間、やってこられたのですから、お金持ちになろうと思えばいくらでもできたと思いますが、そのような欲はありませんでした。
いつお伺いしても同じような和服姿でニコニコ座られていました。

安丸姫様には、私は和合と感謝を教えていただきました。
少し安丸姫様から教えていただいたことを振り返ってみます。

「あなたはまだ信じ切れていないわね。手が湿っているもの」
今から17年前に安丸姫様から手を握られ声をかけられた時のこの言葉を今でもしっかりと覚えています。
結婚する直前に妻と一緒に神奈川県の鎌倉にある富士和教会に伺った時のことです。
安丸姫様は朝から夕方までのご相談を終わらせ、最後に残った方々としばしくつろがれていました。
妻には「いつも頑張っているわね」と言われた後、私の手を握り声をかけてくれました。
「あなたはまだ信じ切れていないわね。手が湿っているもの」

そのお言葉に私はドキッとし、苦笑いをしたと思います。

あれから17年間、年に数回、鎌倉の富士和教会に伺い、心掛けの勉強をさせていただいて参りました。

安丸姫様からは、和合と感謝の気持ちが一番大切ですよとずっと教えていただき、感謝という気持ちを持ち合わせていなかった私は、人からしてもらうだけの人間で、人に対してしてあげることもできず、感謝の念を持ってお返しをするようなこともできませんでした。
感謝の大切さを教えていただいてからは、感謝の気持を表に出したいと思っていましたが、心から湧きでてくるような感謝の気持ちはなかなか表には出てきません。形だけではない本当の感謝の気持ちは大変難しいように感じます。

和合に関しては、6,7年前に社内でいやな思いをしていたのをきっかけに1つの解決方法を教えていただき、言われたことを実行しました。
それを実行して解決した時は、驚いたことにそれまで長い間心の中にあったわだかまりが一瞬で消えてしまいました。

それはできれば簡単なことです。
しかし、なかなかできないことでもあります。

安丸姫様からはこのように教えていただきました。
「あなたがペコペコしていればいいのよ。相手が下であろうが上であろうがニコニコしてペコペコしていればうまくいくから。」

その時、私は安丸姫様に質問をしました。
「私が悪いことをしたと思ってもいないし、嫌に思っている相手は年下で格下の者なのに、それでも私がペコペコしないといけないのですか」と。
しかし、これはもしかすると声に出しての質問ではなかったかもしれません。心の中で質問したかもしれません。
ただ、どちらにしても私は一間おいて「わかりました」と言って(心の中で言ったのかも)、おっしゃったことを胸にしてその通りにすることを決心しました。

それから、私はそのうまくいっていない方に会社で何度となく何気なく声をかけ話しかけながら人間関係を修復しようとしますが、その方はなかなか心を開いてくれません。数か月間そのような状態が続きました。
そして、年末の宴の時にあえて横に座り「私に悪いところがあったと思うが、どうにか許してもらえないかな。」と話したところ、その方は、初めて心を割ってくれました。「それでは、言いましょう。」、「あなたは、あの時にあのようなことを皆の前で私に言ったでしょう。」、「あれを言われたら、いやな気持になりますよ。どう思います。その時のこと覚えていますか。」と話してくれました。
私も知らず知らずのうちにそのように相手を傷つけるようなことを言っていたのを反省しました。
そして、その方には謝り、こらからはどうにか、またうまくやっていきましょうとお互いに納得して、握手をすることができました。

それから、何か人とぎくしゃくする時は、自分が先に折れることができるようになり、ほんの少しですが和合のコツがわかったように思います。

このように大切なことを私は安丸姫様に要所、要所で教えていただき、今があります。
昔のハチャメチャな自分からは想像もつかない今の自分です。

現在は、安丸姫様のご子息の和丸斎様が後を継がれ、私たちに指導をしてくれています。
私の4年前からの起業に関して、ビジネス所に書いてあるビジネスノウハウではなく、起業、仕事をやって行くにあたっての『考え方、心掛け』を教えていただいています。
この『考え方、心掛け』を教えていただいたおかげで、損得勘定などを考えずにお取引先に喜んでいただくことを優先的に考えることができるようになりました。
そして、事業運営も順調に進み、あっという間に社員も10人を超え、昨日は東京事務所をオープンすることもできました。
また、今年の2月には、1500社の中から福岡ベンチャーマーケット大賞の最優秀賞にも選んでいただきました。嬉しいことです。

人には、「人にして上げられる人」と「人からしてもらうのが当たり前と思う人」がいると思います。

人にして上げることが、後々その人にとっての幸せとなって返ってくるのだろうなと思います。
安丸姫様も大変ご苦労をされながらも、大変幸せな人生だったことでしょう。

私も安丸姫様のように少しでも「して上げられる人」となりたいと思います。

さあ、今日はこれから星薬科大学の同窓会です。
皆どんなになっているかな、楽しみです。