5mmの隙間で人生がかわった

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今日は大阪の出張で一日が終わりましたが、充実した一日となりました。
某企業とのお取引の打ち合わせで多くの方々の前でプレゼンテーションをさせていただき、ご評価もいただくことができました。
お昼をその会社の近くのオープンカフェで取り、コーヒーとチキンサンドイッチを注文しPCを見ながらアポイントまでゆっくりしていたところ、ある拍子に右腕に巻いていたミサンガが切れました。
これは手首に巻き、半年以上身に着けていました。
長女がある時にミサンガ作りに熱中していて、私のために作ってくれたものでした。
肌色と白と黒の3色でできたきれいなデザインのこのミサンガを私は気にいってはいました。
しかし、一ヵ月ぐらいで切れるものだと思ったら、なかなか切れずに何人もの方々から『それは何ですか』と聞かれたりもしました。
ミサンガとは、何種類かの細い紐を編んで縞模様がデザインされた数ミリの太さのアクセサリーのようなものです。手首などに巻きます。
固結びで結んであるので切れるまでは取れません。
ミサンガを着ける前に願いごとをして、ミサンガ切れた時には、その願いが叶うのだと長女からは教えてもらいました。
それが今日やっと切れました。何か解放されたようでもあり、さびしいようにも感じます。
切れたミサンガは上着のポケットに入れてあるので、家に帰ったら子供たちに見せようと思います。

2,3週間前だったと思いますが、私にとって一生忘れられないようなことが起こりました。
家の玄関の周りを掃除していた時のことです。
玄関の大きな扉の周りの汚れた壁を洗剤を付けた雑巾でこすってきれいにしていました。
そこに三女がやってきて、一緒に手伝うと言ってきました。
私はブラシを三女に渡し、一緒にゴシゴシと壁をこすっていましたが、玄関の扉が開くと取っ手と逆側のヒンジが付いたドアの根元の部分に数センチの隙間ができます。
妻が来た時、三女がその扉の隙間の近くにいたので、手を挟むと危ないよと言っていました。
その時は、なぜか妻も私もイライラしていて、子供たちにも何かしらガミガミいっていて、良くないなーと感じながら、いつになく玄関周りの掃除をしていたのを覚えています。

そして、妻が扉を開けてから、家の中に入った時でした。
三女の薬指が扉の隙間に、私の目の前で、すっと吸い込まれるように入っていき、挟まれました。
金属製の大きな扉です。
取っ手の部分に挟まれるのなら大丈夫だと思いますが、扉の根元の部分で、ここはテコの原理で取っ手の重さが確実にかかってしまうところです。
三女の指は完全に挟まれ扉も完全にしまっています。
一瞬のうちに、私の頭の中では、三女の指が切断されたと判断されました。
泣きたくなる気持ちで扉をすぐに開け、私は胸に痛みを感じながら、三女の指を見ました。
くっきりと扉の跡が付いていました。指は切断されてはいませんでしたが、骨がスタズタに折れているだろうと思いました。
居ても立ってもいられない状態で、妻を呼び救急病院に連れて行こうと話しました。

三女は泣いています。

妻も泣きそうになっています。

今思いだすだけでもぞっとしますが、三女の指はかろうじて大怪我を免れました。
後で、扉のところに行って見てわかったのですが、三女の指が挟まれた扉と鉄の枠の間に5mm程度のほんの少しの隙間がありました。
三女はまだ4歳でしたので、指の骨の太さがちょうどそのぐらいだったのでしょう。
皮膚と筋肉神経部分は傷ついたでしょうが、骨までは傷つかなかったようでした。

私はその後落ち着いてから、思いました。
両親がイライラしていると子供たちにはいいことはないのだと。
三女の指が切断されていれば、その後の私たち夫婦は、いろんなことを後悔して生きていくことになったでしょう。

これからは、夫婦が子供たちにやさしい気持ちで接してあげられない時、この事件のことを思い出そうと思います。
子供にも会社の皆にも、世の中の皆にも、優しくしないといけないなと改めて思います。

来週は新社屋の引っ越しです。
10月からは新しい社員も増えます。
よーし、明日からも頑張るぞー。


今日、長女にもらったミサンガが切れてしまいました。
長い間付けていて、これを見るといつも長女のことを思い出しました。
これもいい思い出の一つとなりました。
しかし、きっと、ミサンガはもう二度と着けないかもしれません。

そして、この切れたミサンガを付ける時の願いごとが叶うことを願っています。
その願いごとは、『子供たちが健やかに幸せな人生をおくれるように』でした。
そうなってくれるといいな。